腕時計はたくさんの部品から構成された まさに芸術品です。
その部品でよく聞く「〇〇ベゼル」。
ベゼルとはいったい何なのか?
本来 ベゼルは風防(ガラス)を固定する役割の部品です。
しかし、風防を固定する部品が 時計への印象を強く与えていき、今ではデザインとしての役割が大きくあります。
同じ時計でもベゼルが違うだけで、時計への印象が変わります。
ロレックスはそんなベゼルのデザインにこだわりを持ったブランドです。
(他のブランドがこだわりを持っていないわけではありません)
また、ロレックスのデザインが他のブランドに大きく影響したものもあります。
今回はロレックスのベゼルに焦点を当てて紹介します。
スムースベゼル/ポリッシュドベゼル
デイトジャスト(SSモデル)
デイデイト(プラチナモデル)
ミルガウス
エアキング(新型モデル)
ベゼルの基本的な種類で一番多くのモデルで使用されています。
ベゼル部分がポリッシュ仕上げ(鏡面仕上げ)されていて、スッキリしたシンプルな見た目です。
見た目がシンプルでオンオフどんなシーンでも着用できるため 多くのモデルに採用されています。
フルーテッドベゼル
デイデイト(ゴールドモデル)
スカイドゥエラー
ロレックスのアイコン的存在のベゼルです。
英語で「縦じま」を意味するフル―テッド。
1分の角度分(6度)ごとにギザギザの山型に加工され 陰影や反射がゴージャスなゴールドカラーを引き立てます。
手首の動きできらきらと輝き 上品な雰囲気で高級感が出るのが特徴的です。
2022年の新作からプラチナモデルのデイデイトが登場しました。
エンジンターンドベゼル
デイトジャスト
航空機のエンジンが回転する様子を基にデザインされた立体的なベゼルです。
フル―テッドベゼルに似ていますが、山型になったフル―テッドベゼルに対し、
掘る部分(艶消し)と掘らない部分(鏡面仕上げ)が連続されたデザインで成り立っているエンジンターンドベゼルは、棒状のように見える加工がなされています。
フル―テッドベゼル同様1分の角度分(6度)ごとに大きな山と4本の小さな山が連続した加工が施されています。
また、ゴールドモデルで採用されるフル―テッドベゼルに対し、エンジンターンドベゼルはステンレス素材に採用されることが多いのも特徴です。
フル―テッドベゼルの前身にあたり、旧型のモデルのセミアンティークモデルに存在していましたが、現在のモデルでは採用されていません。
エンジンターンドベゼルを「エングレーブドベゼル」と呼ぶこともあります。
ファインリーエンジンターンドベゼル
オイスターパーペチュアル
エンジンターンドベゼル同様、大きな山と小さな山で構成されていますが、
5分の角(30度)ごとに頂上が平面の大きな山(マーカー)でその間に無数の小さな山がある 特徴的なデザイン。
※12時部分は大きな山が2つの物もある
スポーティさとエレガンスの両方を兼ね備えるデザインです。
エンジンターンドベゼルの発展させたモデルで セミアンティークモデルに存在し、現在のモデルでは採用されてい。ません。
ファインリーエンジンターンドベゼルを単に「エンジンターンドベゼル」と呼ぶこともあります。
回転ベゼル(逆回転防止)/カウントアップベゼル
シードゥエラー
時計回りに大きくなる目盛りの数字が刻まれたベゼル。
反時計回りにだけ回転します。
潜水時間(ボンベの残り時間)をカウントするための目盛りで ダイバーウォッチに採用されています。
不意な接触でベゼルが回転し ダイバーに危険が呼ばないように反時計回りにしか回転しない「逆回転防止」になっています。
逆回転防止は 経過時間が短くならないようになっていて ダイバーの安全を守る重要機能です。
※正回転(反時計周り)・・・時間が短くなるが 潜水中のボンベ残量の枯渇は避けられる
逆回転(時計回り)・・・時間が長くなってしまい潜水中にボンベ残量が枯渇してしまう
回転ベゼル(両方向回転/双方向回転)
サンダーバード
ヨットマスター(初期モデルは逆回転防止)
GMTマスター
GMTマスターII
目盛りの刻まれたベゼルが両方向(時計周り・反時計回り)に回転できる種類。
主に時間計測に使用します。
サンダーバードやヨットマスターは目盛りを彫り残していて、高級感があります。
GMTベゼル
GMTマスターII
エクスプローラーII
ベゼルに目盛り(主に2~22の偶数)が刻まれており GMT針(24時間針)により別の時間帯(第2時間帯など)を表せるベゼル。
GMTマスター・GMTマスターIIはベゼルが昼夜で2トーンカラーになっているものがあり 昼夜を表現している。
そのため 18~6(通常の上)側を暗い色で表現することが多い。
(赤青であれば青、青黒であれば黒が上側になる)
また GMTマスター・GMTマスターIIはベゼルが回転し、別の時間帯を表せる。
GMTマスターII・エクスプローラーII(第2世代以降)は時針だけを動かすことで、別の時間帯を表せる。
2つの機能が可能なGMTマスターIIはベゼルの回転と時針だけを動かすことで、第3時間帯を表すことが出来る。
タキメーターベゼル/タキベゼル
ストップウォッチを搭載したモデルに採用されているベゼルです。
ストップウォッチとベゼルの目盛りを使用し 平均速度などを出すことが出来ます。
ロレックスではストップウォッチ搭載したモデルは現在コスモグラフデイトナしかないので、コスモグラフデイトナのみに採用されているベゼルとなります。
今回 紹介する数ある種類のベゼルの中で 一番多くの数字が刻まれているため、よりスポーティに感じられます。
バークベゼル/バーク仕上げ用ベゼル/手彫りベゼル
【出典】かんてい局春日井店
縦溝が樹皮(バーク)をイメージした不規則な彫刻デザインです。
手で彫ったような見た目から「手彫りベゼル」とも言われることもあります。
画像のようにファインリーエンジンターンドベゼル風のバーク仕上げされたモデルもあります。
搭載モデルはブレスレットのセンターのコマもバーク仕上げになっているものが多くあります。
【出典】かんてい局春日井店
宝飾ベゼル/ダイヤベゼル
コスモグラフデイトナ
デイトジャスト
ベゼルにバケットダイヤモンドやパヴェダイヤモンド、サファイヤなどの天然石の宝石をセットされたベゼル。
ベゼル全体に宝飾を敷き詰められたモデルや 同じ間隔で宝飾をせってキングされたものなど多種多様。
宝飾が放つ輝きがシーンに合わせて高級感を漂わせ 時計と言うよりも宝飾品を着けている感覚になります。
宝石がセッティングされたベゼルにより時計の価値が上がります。
アフターダイヤなど後で埋め込まれたものは、ダイヤベゼルには該当しません。
ピラミッドベゼル
【出典】かんてい局春日井店
ピラミッドのような山型に加工が施されたベゼル。
(画像はピラミッドと宝飾のコンビベゼル)
フル―テッドベゼルのような縦方向の加工に加え、横方向にも加工を加えることで たくさんの四角錘形のピラミッド形状がベゼルに施されています。
華やかなデイトジャストモデルに採用されており、文字盤を引き立てるデザインです。
サンダーバードベゼル
デイトジャスト サンダーバードにしかないベゼルです。
両方向に回転するベゼルに ターノグラフ同様、三角形と10分間隔で数字と間の5分部分にバー刻まれています。
ターノグラフに近い雰囲気がありますが、
ターノグラフは全体がフル―テッドベゼルのような加工になっており、10分間隔で平面があり薄い掘り込みで数字や三角形が刻まれています。
対し、サンダーバードは全体がファインリーエンジンターンドベゼルのような加工になっており、10分間隔で掘り下げられ 数字や三角形を彫り残しています。
そのため数字が浮いて見えるようになっています。
デイトジャストにスポーティらしさが出ていて、中古市場でも人気です。
コインエッジベゼル
コインの縁に見られるような細いラインのカマボコ状のギザギザが施されたベゼルです。
光りの反射を抑えられるため 視認性が高いのが特徴です。
現在の発売されているモデルには採用されておらず、アンティークモデルだけでの存在のため、中古市場でも人気があります。
リングコマンドベゼル
スカイドゥエラー
一見、通常のフル―テッドベゼルや回転ベゼルのような見た目ですが、ベゼルの回転がムーブメントに連動し、特殊な機能を操作させるためのトリガー(引き金)としての役割を備えているベゼルです。
ロレックスが独自に開発し、特許も取得しています。
操作する特殊機能
ヨットマスターII・・・レガッタクロノグラフでカウントダウン機能の役割
スカイドゥエラー・・・カレンダー、ローカル/ホームタイムの設定選択の役割
ベイクライトベゼル/ベークライトベゼル
人工合成プラスチック樹脂「ベイクライト」で作られたベゼルです。
ベイクライトはベイクランド博士が創り出した熱硬化性フェノール樹脂です。
熱に溶けず また絶縁性に優れることから採用されましたが、傷や紫外線の耐性が低い欠点も持ち合わせています。
紫外線に弱く色が変化してしまいますが、人工的には作れないような独特の色彩に変化する持ち味があります。
熱に強いのが利点でしたが、そのため溶かせずリサイクルができないので、製造されなくなってしまいました。
初代GMTマスターに採用されていましたが、4年と言う短い期間しか製造されておらず アルミ製のインサートに変更されてしまったため 極端に少ない流通量で幕を閉じました。
流通量の少なさに加え 傷や紫外線に弱いことで、状態の良いものは中古市場で価値が高い傾向にあります。